『 再会 』




96年の夏、サザンの関口氏の誘いで我がウクレレカフェ・カルテットが六本木プリンスでハーブ・オータ氏と共演させてもらう事になり、打ち合わせに行ったところ偶然一緒に出演する事になっていたSANDIIと久保田真琴氏と再会した。久保田氏とはSANDIIのRemixAlbum"Joget To The BeAt"のレコーディング以来3、4年ぶりになる。一方SANDIIたるやおよそ20年ぶりにもなろうか、もはや私など憶えておるまいと思いきやしっかりと憶えていてくれ「久しぶりねぇ」とやさしさに満ちた瞳で話してくれる。なにも変わっていなかった。
翌日のLIVEはプールサイドのいい雰囲気の中で始まった。我々U.C.Qの演奏は客層を無視した選曲でおおいにハズしたようだったが、それよりもその後のSANDIIの唄った曲が素晴らしく、「うーん。いい音楽をやっているなぁ」とその時は感心しているだけだった。もちろんトリのオータ氏もナチュラルなエコーの中、鳥肌モンのウクレレを聞かせてくれて素晴らしかった。
感動冷めやらぬまま突入した打ち上げの席で久保田氏より、今度ハワイアンをやるので一緒にどうかという願ってもない誘いがあり、私は二つ返事で志願し絶対にTELして欲しいと念を押してその日は別れた…。


今を去る23年程前であろうか、私はペダルスティールの初心者マークをベタベタに貼り付けた若輩プレイヤーだった。友人のすすめで加入した“オアシス・ボーイズ”なる、今では誤解されそうな名のBANDをやっていた。マリアマルダーやリンダロンシュタット等のカバーとオリジナルの曲に南国的エッセンスを加えた様な音楽をやっていたわけだが、そのBANDの紅一点でチャーミングなVocAlの女性の名は「美嵯マリア」。本名を久保田美嵯(だったと思うが)という。誰あろう夕焼け楽団(のちのSUNSETS)の久保田真琴氏の実の妹さんである。そして彼女がその頃一番弟子として習い始めていたHulAの先生こそSANDIIであった…。


久保田氏からTELがあったのは97年の春だった。早速打ち合わせということになり山内さんという人のお宅に行くことになったのだが、実は私はコンニャク屋さんでスラックキー・ギターの名手という山内雄喜さんの事はテレビその他で知っていたので、スラックキー・ギターの真似事しか出来ない私には本物への興味と憧れがあった。またSANDII達が山内氏を「荒井さん荒井さん」と呼ぶことも不思議だった。
気さくに迎えてくれた山内さんの部屋はハワイに関連したアンティークやモノで埋め尽くされ、目玉飛び出る系のレアな楽器の数々が雑然とおいてある。詳しい話はここでは省くが、みな1920年代〜40年代のとんでもないシロモノばかりだ。どうも初めましてと挨拶をすますやいなや「玄ちゃん」と親しげに呼ばれ一枚の写真を見せられた。キョトンとしつつその古い写真を見て驚いた。若い頃の山内氏の後方の数人の中にまぎれもなく若輩プレイヤーだった頃の私がいたのだ。驚きのあまり体温が上昇し、軽い興奮状態になっていた。ただちに、それがいつ何処で撮られたものか分析しようとしたのだが全く思い出せない。二人分の記憶を総動員して数分後、やっと頭の上に電球がパッと灯いたように思い出した。その頃に私が一度だけ手伝った事のあるタヒチアンShowの楽屋でのスナップであるらしかった。たしかその時私はパーカッションでかり出されていたように思う。当然踊っていたのはSANDIIを筆頭に生徒である美嵯ちゃん他数名である。懐かしさと、なによりその時一度会ったきりというのに写真をわざわざ再会の為に用意していてくれた氏のフレンドリーな思いやりにシミジミとよい気持ちになった。こういう人達と一緒にやるハワイアンはきっとシミジミと気持ちがいいに違いないとその時思ったものだが、後日のリハーサルでは案の定その通りでひとりホクホクとしていた。また「荒井」と聞こえていたのは、「ALANI」という山内氏のハワイでのミドルネームであること、そのアラニさんのスラックキー・ギターが何気なく、シミジミと素晴らしい事もわかった。
休憩の時SANDIIは「KEOLA」(紳士という意味らしい)というミドルネームを私にくれた。いきなり紳士に昇格である。これからは何事もじぇんとるにいかなくてはいけない…。


これを読む方は「HAWAII'AN-MUSIC」についてどんなイメージをお持ちだろうか?年輩の方ならば、かつて日本での爆発的ハワイブームのまっただ中で流行したムード歌謡をご存じのはずだが、コンピュータを使いネットワーク経由でこれを読むような年代の方(高倉 健のような人はのぞいて)はよほどのハワイフリークでない限りピンとこないのではないだろうか。ムード歌謡はこの際なかった事にしてもらって、手っ取り早くSAndii's HAwAii 1〜3 のCDをどれでもいいから聞いてみるといい。民族音楽を聞く方であればなおお勧めです。古典、モダン、ハリウッド的エキゾティックとバラエティにとんだ内容で、特に古典のものは個人的に新鮮でよかった…。


リハを終え、墨田区のイベントにて試運転?の短いLIVEを行った後、8月に富山の『SUKIYAKI Meet The World』なるイベントに行った。ここは一度来てみたかったところで、市をあげて積極的に音楽普及活動をしているという「市長の爪のアカ全国に送れ!」モンのえらいところ。トリニダードの有名なSTEELBANDであるレネゲーズが来たときになんとBANDの全てのスティールパンを市が譲り受けSTEELBANDをつくってしまった、というどえらいエピソードもある。一行は空港から車で40分程の所にある、出来て間もないホール(名前忘れました)に到着。ピカピカである。楽屋に案内され一息ついているとチャーミングな中年女性が現れた。なんと美嵯ちゃんだった。またまた感動の再会をしてしまった。富山からほど近い金沢の小松市に住む彼女はSANDIIの為に踊りに駆けつけてくれたのだ。彼女はずっとHulAを続け実を結び、今では金沢でスクールを持つ先生となっていた。そしてLIVEが始まると美嵯ちゃんとそのお弟子さん達はSANDIIと並んで、まさに血統書付きの素晴らしいHulAを踊って客と私を魅了した。私は演奏しながらシミジミと嬉しい気持ちになっていた…。

ハーブ・オータ氏のサインが入ったウクレレをポロンと爪弾く度に、数々の偶然に感謝をしつつ音楽する心をみつめなおす最近の私なのです。

GEN 『LOVE&PEACE』



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